雑草魂

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映画「ベルリン、僕らの革命 The edukators」

革命という言葉に重みがない時代に生きる

後味の悪くない、小気味良い若さあふれる映画。
反骨精神が衰えかけた老体(私)に心地よいカンフル剤のような。

様々な問題提起を内包しつつもテンポと勢いを失わない脚本が何より素晴らしい。

働いても働いても生活するだけで精一杯の労働者がいる一方で、必要以上の広いプールつきの大豪邸に住み、ガレージに何台もの高級車を眠らせ、ほとんど使いもしないヨットを所有する資本家がいる。この不公平感。日本も格差社会なんて言われているけれど、きっとドイツのそれにくらべたらたいしたことないのだろう。


誘拐した資本家が元学生運動家という設定が面白い。日本の全共闘世代もそうだけれど、年をとって安定を望むようになるとみなこのように日和って資本主義の歯車になっていくものなのか。理想主義は若者の特権なのか。


女が入ることで男同士の友情が揺れたり、理論ありきの頭でっかちの男に、感情的になりやすく主観で行動しようとする女。思想だけでなく若い男女の三角関係を混ぜたところが巧い。

個人的にちょうど連合赤軍本を読んでいたところだったので、やはり活動は過激化し、過激化した活動は追われることになり、活動家は山へ逃げるのねと思った。万国共通なのか。

DVD特典の監督のコメント、現代は革命という言葉は資本家に用いられ陳腐化してしまったという一節にとても同感。(日本でも脳内革命とか価格革命とか流行ったし)<br>
もう革命という言葉に重みがない時代に生きる若者の憤りに強く共感した。<br>
こういう終わり方も好き。ハッピーエンドとは思わないけれどウマイし、溜飲が下がる。

でもこの日本語タイトルは違和感があって残念。