映画「ポリーナ、私を踊る」
「ポリーナ、私を踊る」鑑賞。
青春バレエ映画かと思っていたが、期待以上に良い作品だった。
才能に恵まれた少女がクラシックバレエからコンテンポラリーを経てコリオグラファーダンサーに成長していく物語。まるで漫画「SWAN」の実写版かと思わせるようなよくある筋。しかし決して陳腐ではない。
セリフよりも表情、表情よりも身体へと、言葉以上に物語る身体がそこにある。魅力的なダンスシーンがふんだんに散りばめられ、手持ちカメラでドキュメンタリー風に追われるポリーナを見つめるうちに、もう若くはない私も「世界をもっと知りたい」と満足することを知らない貪欲なダンサーのような青々しい気持ちが湧いて来た。
貪欲に自分の表現を追い求めるもののさが。表現者の人生。
ポリーナのさらなる続編が見たい。
ややデフォルメされた各国のダンスシーン比較も興味深い。
メソッドを厳格に守り権威主義的なロシアクラシックバレエ、そこに"愛"が生まれるかどうかを重視するフランスのコンテンポラリー(あのジュリエット・ビノシュが踊ってみせる場面もある)、主人公はたどり着いたベルギーにてコンタクトインプロゼーションによる創作に出会い、自由に羽ばたく。
しかし何と言っても、主人公のポリーナが魅力的でひきこまれる。それが一番。佐々木希と草刈民代を足して浅田真央のストイックさを内に秘めたかのような、目ヂカラの強いポリーナ、強く、脆く、可愛い。